図書館の魔女

読み終えた途端、身体が打ち震えました。涙が次から次へと溢れ出て、小一時間ほどそれは止まりません。驚嘆そして感動。この小説は明らかにこの時代の先端を行っていました。文学の進化を垣間見た気分だったのです。

本屋に入った時、書架から「図書館の魔女」に呼ばれた気がしました。わたしには小さな頃からそう言う感性が有って、わたしを呼んだ本を手に取って読んでみると、大抵その時に必要な事が書いてあるのです。ですからわたしは、その「本が呼ぶ」感覚に従う事にしています。

文庫で4冊分あったので、取り敢えず一巻だけ買い求めて、早速読み始めました。読み始めて、直ぐに四巻いっぺんに買うのだったと後悔したのです。

単純に面白い。物凄く面白いのです。

指輪物語は戦争の話。ハリーポッターは再び戦争が起こる話。そしてこの図書館の魔女は…戦争を起こさない話なのです!叡智と気概と信念を持った違う言葉で語らう人々が、共通語で以って会談を行い、武力でなく言葉を介して戦争を回避するのです。その立役者こそ今作の主人公、図書館の魔女マツリカです。彼女は先天的な身体的事情で発声することが出来ず、手話で会話を行います。その描写の躍動感たるや!

彼女は言います。武力で物事を解決する時代は終わったのだ、と。

魅力的な登場人物に、裏打ちされた確かな筆力、文章構成。そして余りに自由な文体。目が眩むほどです。

闊達な文体にラテン語とフランス語が絶妙にミックスされ、とても心地いい。

言葉と平和とファンタジーを愛する人々に、是非お勧めしたい一冊です。