あのひとは蜘蛛を潰せない

血の繋がりというものは時に厄介なものです。切りたくても切れない関係で、子供は親を選べません。
この物語は母親にずっと従って生きてきた主人公が歳下の青年と初めての恋をして家族という関係を見つめ直していく物語です。
娘を鳥かごに入れるように大切に育ててきた母親は「みっともない」ことに嫌悪感を抱いていました。
そんな母親に育てられた主人公もまた、他人から「みっともない」と思われることを嫌っていました。
「子育ては洗脳のようなものだ」と言う人が存在しますがそれはあながち誤っていないのでは、と感じるような二人です。
読み手からするととてももどかしく二人の関係は続いています。
主人公が初めて母親に反抗した時は「よく言った!」と妙な爽快感がありました。
もどかしく、ダラダラと続いていく二人の関係ですが、そこに一人の青年が現れます。
この青年こそが主人公を変えていくヒーローです。
「かわいいのに、ひやりとする」と主人公は彼に思っていますが、彼は読み手も恋してしまうくらいに目が離せない存在です。
この物語には悪者がいません。
全員が全員、誰かのことを考えて、空回って、それでも誰かと繋がっていたいと強く感じています。
人間の弱い部分や醜い感情、それを如実に表現していますが「自分にもこんな感情があるな」と共感したり、落ち込むことの出来る物語です。
血の繋がりは厄介だけど、悪いことばかりでもない、今親とぶつかっている反抗期の子にも読んでほしいと思う作品です。