教育そして家族の物語『みかづき』

森絵都著の『みかづき』。

この物語は教育を題材にしており、戦後の『塾って何?』との時代から平成へと移り変わっていきます。

学校の用務員の大島吾郎はひとりの生徒に勉強を教えたことがきっかけで大島教室と呼ばれるまでになるのです。

その吾郎の才能を欲した千明が一緒に塾を開こうと話を持ち掛けるのです。

千明は学校教育に疑問を感じて反感を感じていたせいもあるのかもしれません。

今では塾は当たり前に存在しますが、当時はかなりの反発が起きます。それでも塾を開き子供たちに勉強を教えていくのです。

吾郎の人柄と教え方のせいか塾の場が楽しい場に見えます。もちろん、成績もあがります。

それでも、塾を悪く言う世間は存在するのです。不思議です。

吾郎と千秋はその後結婚するのです。

時は流れて平成になっても教育問題はなくなることがありません。

大島家は孫の代まで教育という場に関わっています。

塾の存在意義がどんどん変わっていくのです。復習を重きにおく場から進学するための塾へと変化していきます。

そこには昔の塾のような楽しさは感じられません。

いいのか悪いのかはわかりませんが、塾は必要なのでしょう。

そして、同時に大島家という家族にも目を向けてもらいたいです。教育に熱い家だと言えます。教育に熱心なあまり厳し過ぎて冷たい一面も見えますが、温かなものも感じられます。

ウルッとくる場面もあります。

個性ある登場人物、トラブルの絶えない家族、家庭を顧みない家族のようでそうでないような家族。それぞれいろんな悩みを持っています。

この物語の家族の関係性は不思議なところもあるけど、うまくいっているのかもしれません。

教育という同じ思いでうまく突き進んでいるのでしょう。

そうそう、本書の『みかづき』というタイトルは読み終えてそういうことかと腑に落ちます。

太陽が学校で月が塾。そして、みかづきは?

その答えは読んでみて確認してください。

この物語を読み、今一度、教育とは何かと立ち止まって考える機会にしてみるといいかもしれません。