カラダ電器店

各種動物から物品、果ては血液型まで、最近はあらゆるジャンルの「擬人化」が非常に盛んです。しかし本作「カラダ電器店」に登場するのは、家電と化した、感じのリアルな人間なのす。正規のマシーンがメンテナンスなどで使えなくなった時に、颯爽と現れる、いかにも真面目そうな中年男性。彼こそが「リアル家電製品」なのです。

「彼」は基本的に服すら着ていないですが、その守備範囲はとても広く、炊飯器からATM、食器洗い等々の、普通のご家庭では少々珍しい機械の代わりをつとめてくれます。
仕事ぶりは超真面目で、ちょっと一言多いことを別にすれば、勤務態度はまったく問題がないです。しかし、いくら優秀な仕事人とは言え、実際に人間が家電になり切ることは難しく、自分の口を使ったりしてご飯を仕上げ、あるいは熱々のコーヒーを直接手で扱うなどの無茶をする結果、「彼」の負担も物凄いことになっていきます。

さらに言えば、絶えず同業他社のライバルや、より優れた後発製品に突き上げを食らうのも「製品」の宿命であり、容姿性能ともに、大きく水をあけられることもしばしばですが、謎の観察力を駆使して窮地を乗り切ったりもします。

日常にある製品のたった一つが生身の人間に入れ替わっただけのことではあるものの、その「破壊力」は凄まじく、強烈な絵面もあいまって、爆笑必至と思えるほどの強烈なギャグ空間を作り出してもいます。妙にいい話でまとまる各エピソードといい、全体的に非常にセンスが良く、後味良く読めるのも魅力です。