カント・アンジェリコを読んで、音楽がもたらす誘惑を知った

作家高野史緒が書いた小説カント・アンジェリコ。

この本は中性のヨーロッパを舞台としており、音楽の世界にとりつかれた歌手の苦悩が書かれています。

この小説は装飾的な文体が用いられており、光や音を連想させるキーワードを多用している文章を見て、思わず目がクラクラしてしまいました。

途中で電話という小道具が用いられ、独特の会話が交わされる場面があり、一般的な中性の外国を舞台にした歴史小説とは少し趣きが違うように思いました。

また途中で生物学的な考察や作用反作用の法則の下りが書かれているので、一種の理科系小説を読んでるような感覚になりました。

この小説を読んで特に印象に残った事は、実在している音楽家の名前がたくさん出てきてる事です。

私はクラシック音楽の事をよく知らないのですが、あとがきの部分でフランス語のロックの事や米良良一の事について書かれているのを目にして、思わずうなずいてしまいました。

外国だけでなく、日本の歌手にも目を向ける作家高野史緒の音楽の精通ぶりを知る事が出来ます。

また、あとがきで親切に楽譜も少し載せられているので作家のサービス精神も堪能する事が出来ます。

この本を読み終えて音楽というのは人を引きつける特別な磁場があるのではないかという素朴な疑問が思い浮かびました。

しかし、よく音楽サイトでロックバンドのライブでのファンの熱狂ぶりを見てると、やはり音楽は人を引きつける特別な力があると思ってしまいます。

カント・アンジェリコは少し変わった音楽小説を読んでみたいという人にお勧めしたい本です。