現代にアダムとイブ「おかしな先祖」

星新一先生の、短編作品集です。

意表をつく展開と、オチの数々。

中でも私が好きな話は、まず「心残り」。

同じ病室になった、余命いくばくも無い三人の男性。

若い色男、コワモテのヤクザ、太った老人。

全員の心残りは「女性にモテたい」ということ。

彼らは意気投合し、驚きの提案を医師に持ちかけます。

それは死後、三人の身体の健康な部分を繋ぎ合わせて、一人の人間を作り出すこと。

やがて手術は成功し、彼はある美人と良い雰囲気になりますが……。思いがけないオチに、笑うやら、気の毒になるやら。

次は表題作。

現代の街に突然現れた、裸の男女。彼らは自分をアダムとイブと言い、その特徴は、聖書に出てくる人類の先祖そのもの。

二人が死んだら、全人類が消えてしまうのか?

アダムとイブが人質になり、さあ人類の大ピンチと思いきや……。

彼らがなぜ現代に現れたのか、その仮説は恐ろしく、ヒヤリとさせられます。

アダムとイブが必要になる日が、来ないことを祈るばかり。

時におかしく、時にブラックな短編の数々。

個人的には惚れ薬のせいで、車や鰻など、おかしな相手にモテてしまう男性の悲劇(喜劇?)を描いた「ほれられた男」も好きです。おしまいは、意外にもハッピーエンドですし。